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品種名 : ラ・ブロッシュ
作出 : 20年秋発表 河本麻記子さん作出
花期 : 繰り返し咲き
花色 :ベージュ
花径 : 7㎝
樹高 : 1.5m
香り : 中香
画像は昨年11月、河本バラ園にある大苗作りの圃場で、
大苗を作るため掘り上げる前の、しなやかに1.5m位伸びた枝先に咲いていたのです。
ゴールドを帯びたベージュの花色は、晩秋になってトーンを落とし一層シックな雰囲気になっていました。
春は波打つ花びらの花が房咲きになり、沢山の花を咲かせた姿を長く楽しむ事が出来ます。
このバラを木立にしてオーレア系のリーフやグラスに合わせると、落ち着いた優しい空間になります。
またシュラブでは珍しいゴールドベージュ系の花なので、しなやかな枝を伸ばしてオベリスクやフェンスに添わせると、落ち着いた大人っぽい庭作りにするのに貴重です。
品種名はまるでブローチのような花が房で咲くので、フランス語で「ラ・ブロッシュ」と名付けられ、
麻記子さんの「ローズ・ドウ・メルスリーシリーズ」のファミリーになっています。

品種名 : ベン ウェザースタッフ
作出 : 2020年秋発表 木村卓功氏
花期 : 四季咲き
花色 :アプリコット
花径 : 8cm
樹高 : 1.5m
香り : 中香
バラは単独で見るのも綺麗ですが、庭で草花などと一緒に景観の中で咲くと花が一層引き立ちます。
昨秋発表の品種ですが、昨年春の大苗から試験栽培をさせてもらっていました。
庭の置き場所の周囲にはムギナデシコ、千鳥草、オルレアなどがあり、
近くからクレマチスのツルが伸びて来ています。
そのような中で、スリムな枝のベン ウェザースタッフのアプリコットの花が周囲によく馴染み、
これぞ庭の中で咲かせるのにうってつけだと思いました。
スリムに伸びた枝先に、房になって咲き花持ちもいいので長く楽しめます。
年間を通して花色の変化は少なく、夏場は小さめの可愛い花になります。
スリムに伸びる枝は節間が広く、葉が密に茂らないのも草花とのコラボにとてもいいです。
中輪房咲きの花には、ティにミルラの香りがします。
耐病性は木村さんがバラの育てやすさの目安を、タイプ別に分けタイプ0~タイプ4まであり、
タイプ0が1番病気等に強いとされています。
2019年春にはロサ オリエンティスのサブブランドとして、
耐病性に優れ、丈夫で育てやすいバラの進化型 「プログレッシオ」 を発表。
ベン ウェザースタッフもその一つで、庭でも殺菌剤の薬散をしなくても病気は出ないで済んでいます。
花名は、『小公子』『小公女』などの小説でも知られるバーネットの代表作で、映画化もされている
『秘密の花園』に登場する老ガーデナーからです。

品種名 : アジュール Ajourée
作出 : 河本麻記子さん 2020年秋発表
花期 : 四季咲き
花色 : ピンク
花径 : 7~8㎝
樹高 : 0.9m
香り : 強香
この花を見た時から、優しい草花の中に咲く花を想像して春が待ち遠しくなる・・・そのような花です。
白にピンクがかる透明感のあるブラッシュピンクの花は、けっして整っているわけでなく、
クォーターロゼットや中にはボタンアイになり、そんな花だから草花とコラボで咲かせたいのです。
花弁の先が尖ったり、外にカールしたり、一つひとつに表情のある花を見るのも楽しいです。
この花のイメージより強く甘いダマスクとフルーツの香も嬉しいです。
繰り返しよく咲くコンパクトな樹形で、
枝は硬めの木立性なのでガーデンの前の方で草花の中に咲かせるか、
鉢で育て近くに置いて香と共に楽しむのもいいと思います。
花名は、「アジュール刺繍」から。
アジュールには「明かりとりの窓」「透かし掘り」の意味もある。
麻記子さんが作出の品種は、
暮らしの中の楽しみをバラに表現したローズ ドゥ メルスリー(手芸屋さんのバラ)。
ご趣味の手芸からブランド名にしています。

品種名 : ルイス・キャロル
作出 : ロサ・オリエンティス2020年秋発表 木村卓功氏作出
花期 : 四季咲き
花色 : 濃紅色
花径 : 7cm
樹高 : 1.5m
香り: 強香
春は程よい大きさの花が房咲きになります。
ロゼットの中にはボタンアイになるのもあり、
花持ちが良いので咲いた花の移ろいがグラデーションになり表情も豊かです。
花持ちが良いのに、ダマスクにハーブの香りを強く感じます。
四季咲きと言っても夏の花は見劣りするのが多い中で、夏でも遜色ない花を咲かせます。
本当の意味の四季咲きに近づいた花で、春から初冬まで楽しませてくれます。
スリムなシュラブ樹形で、鉢で育てるのに向いていて1ⅿ位の木姿で形よくなっています。
深緑の葉がこの花に良く合います。
耐病性は殺菌剤の使用は一切していませんが、病気の兆候はありません。
伸ばしてショートクライマーで、景観の中の赤バラとして使うと、花持ちの良さから頼りになります。
品種名は「不思議の国のアリス」作者、ルイス キャロルから命名されました。


品種名 : リナルド Rinaldo
作出 : 河本純子氏 2020年秋発表
花期 : 四季咲き
花色 : 紫
花径 : 6~7㎝
樹高 : 1.2m
香り : 中香

春から秋までで紫色の開花段階で濃淡。
色調などをここまで表現した花は、私の中にはありませんでした。
房咲きの中輪花で、「ニュアンスカラー」と言えば一言で済みますが、
春は春らしい艶のある濃紫色から開花し、赤紫色→紫→灰紫と紫色をベースとして色が変わっていく。
しべの黄色も見せながら房咲きになって咲き混じる。
秋花は紫色から灰紫色の深い味わいのある花になります。
画像の花は、大苗作りで圃場に植えてある所から、惜しげもなくカットして来たのです。
濃緑色の葉が似合い、まっすぐ伸びる広がらない樹形で、1.2m位の育てやすいタイプです。
純子さん作出の花は、これまで女性育種家ならではの控えめな優しさを表現し、
フェミニンで癒されることから人気がありました。
それ故に、このリナルドは今までの作風からは意外でした。
11月にお伺いした時、その事を言いましたら・・
「これからは自分で良いと思うのを開き直ったつもりで出していく」 ・・ような事を言っていました。
それは良い事で、どんどん新しいのに挑戦して下さいと、けしかけてきました。
さすが一流のブリーダーです。
試作場にはいろいろなタイプの花があり、これからの新しい挑戦が楽しみです。
花名は、ヘンデルの同名のオペラもある、「シャルルマーニュ伝説」と呼ばれる中世騎士物語の勇者から
オペラのアリア
『私を泣かせてください(涙の流れるままに)Lascia ch’io pianga』はよく知られています。
(NewRoses vol.28より)